4月から入園や進級で、子供たちにとっては新しい生活がスタートしました。
特に何の問題もなく園生活に馴染む子もいれば、病気でもないのに「休みたい」と言い出す子もいます。中には「今日はお腹(頭)が痛い」と仮病を使う子も……。
こんなときは、親としてどう対処すべきでしょうか?
子供の気持ちを理解する
仮病を使ったことを叱るのではなく、そうまでして幼稚園や保育園を休みたいと思う子供の気持ちを理解することが第一です。
何か幼稚園(保育園)に行くのが辛い理由があるのかもしれません。お母さんと一緒にいたい気持ちなのかもしれません。「幼稚園(保育園)で何か嫌なことがあったの?」「お友達とけんかしたの?」と子供に聞いてみましょう。
なかなか話してくれないかもしれませんし、小さいお子さんの場合はうまく言葉で表現できないこともあるでしょう。お子さんがなるべく答えやすいように、具体的にあれこれ質問してみましょう。問い詰めるような口調ではなく、優しく聞いてあげましょう。色々聞いているうちに、ああ、これが原因かなと思えるような話が出てくるはずです。
よくある理由は、4月のクラス替えで仲良しの友達と離ればなれになってしまったというもの。こういう場合は、新しい友達ができれば元気に通うようになります。
また、「先生が怖い」という理由もよくあります。自分が叱られたわけではなくても、敏感な子は先生が他の子を叱っているのを見て、強い恐怖を感じることがあるからです。話を聞いて、安心させてあげましょう。
妹や弟がまだ幼稚園に通っていなくて、お母さんを下の子に取られたように感じる子もいます。この場合はしばらく休むとお母さんとの時間ができて心が満たされます。満足したら家が退屈になって、また通い始めることが多いようです。
「甘えるな!」は逆効果
新しい環境に子供は期待と不安を抱えています。生活環境が変化すれば、子供だってストレスを感じるのが当たり前です。
朝起きられない、頭痛や腹痛を訴えるなどの心配な症状が出ている子供に「甘えるな!」と言って無理やり幼稚園(保育園)に連れて行くのは逆効果です。その時は我慢して行くようになっても、小学校や中学校で不登校になることがあります。「パパやママは私の気持ちを分かってくれない」と子供が諦めて、自分の気持ちを封じ込めてしまったからです。子供の不安や不満を解決しないままだと、問題を先送りすることになってしまいます。
仕事などでどうしても子供を休ませることができない場合は、帰宅後に子供とのスキンシップの時間をたくさん取ってあげましょう。「頑張ったね」「今日の給食は何だったの?」と子供の話をたくさん聞いてあげると、子供の自己肯定感が育ちます。
「○○しなさい」「みんな○○してるわよ」などといったアドバイスは子供を更に追い詰めることがあるので注意しましょう。
親にも心のゆとりが必要
多くの子供は、入園・進級から2〜3ヶ月で園生活に馴染んでいきます。親御さんは焦らずに見守ってあげる姿勢が大切です。
子供の「話したい」という気持ちをしっかり受け止め、共感してあげる。園で緊張して生活している分、自宅ではリラックスしてのんびり休養が取れるように配慮してあげる。こういうことは、親に気持ちのゆとりがないと実現できません。家族の協力や預かり保育などを上手に利用して、親も気分転換の時間を作りましょう。子供の園生活を温かくサポートするためにも、親自身が元気でいることが大切です。
【参考文献】
※『子育てハッピーアドバイス もっと知りたい小児科の巻②』吉崎達、明橋大二、万年堂出版、2009年
※熊本日日新聞平成27年2月14日「新入生の新生活 円滑に」