子供が昼寝中や夜中、目を覚まして突然大きな声で泣き叫び、パニックを起こして錯乱状態になることがあります。

これは「夜驚症」と呼ばれる睡眠障害の一種です。

今回は、この「夜驚症」の症状や原因、対処法について紹介します。

夜驚症の症状

夜驚症は幼児や子供によく見られる睡眠障害です。睡眠中突然目を覚まし、激しい恐怖を訴えて泣き叫んだり暴れたりします。特に3〜6歳頃によく見られます。繰り返し夜驚症が発生するのは子供の5%程度と言われています。
夜驚症はある種の発作と考えられます。具体的な症状は以下の通りです。

  1. 激しくおびえる
  2. 理解不能なことを口走る
  3. 意識がはっきりしているように見えるが、話しかけても会話が成り立たない
  4. 心拍数が上がる
  5. 呼吸が速くなる
  6. 大汗をかく
  7. 嘔吐することもある
  8. 泣き叫ぶ
  9. 通常、発作は数分〜10分程度で治まる
  10. 本人は発作を覚えていないことが多い

このように、赤ちゃんや幼児に多い「夜泣き」とははっきり区別される症状です。

寝ていた子供が突然「ギャー!」と絶叫して飛び起きたり、「怖い怖い!」「イヤだイヤだ!」「助けて!」などと叫んでまともに会話できない状態になります。泣きすぎて過呼吸発作を起こしたり、息が苦しくなるほど激しい症状です。

しかし、落ち着くとけろっとした顔をして、「なんで泣いていたの?」と聞いても「分かんない」とか「何のこと?」という反応が返ってきます。。横で見ていた家族はびっくりしてしまいますね。

夜驚症はどうして起こる?

夜驚症が起きる原因ははっきり解明されていませんが、子供の脳の機能が発達途中であることが原因ではないかと言われています。夜驚症の多くが、子供の成長とともに自然消滅することからもそう考えられます。
夜驚症は、深い睡眠状態から急に眼をさまし、脳の一部は覚醒したけれど、他の部分は眠ったままという中途半端な状態です。夜驚症に陥っている子供にどんな言葉をかけても届かないのはそのためです。

ほとんどの夜驚症は、子供が眠りについて3時間以内の、深いノンレム睡眠の時間帯に発生することが分かっています。部分的覚醒状態のために感情の制御ができません。泣き叫んだり怖がって震えたりすることから、何らかの恐怖体験やストレスが原因になっている可能性も考えられます。

どう対処する?

夜驚症は精神的な問題ではないので、心配する必要はありません。多くの場合、成長する過程で自然になくなっていきます。
ただ、周囲の人が夜驚症のことを知らないとびっくりして動揺してしまうことがあります。周囲の家族が夜驚症のことを理解し、子供が夜驚症の発作を起こしたときは、叱りつけたり押さえつけたり、無理な方法で接して子供を混乱させないように気を付けましょう。

子供が夜驚症を起こしているときは話しかけても理解できないので、周囲の家族は発作が落ち着くまで見守ることしかできません。優しく声をかけて子供が落ち着くのを待ちましょう。
立ち上がって歩き回ったり暴れたりするような場合は、子供が怪我をしないように気を配りましょう。

夜驚症は基本的に自然に治るので治療は必要ありません。しかし、あまりに頻繁に起きるので家族が寝不足で困っているとか、寝ぼけて玄関や窓から外に出ようとしたり、階段を降りようとしたりして危険だとか、事情がある場合は小児科や小児神経科で相談してみましょう。睡眠障害クリニックでも相談できます。

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