テレビコマーシャルなどを見ていると、便秘は若い女性によく見られる症状のように思いがちですが、実はシニアの約半数以上は便秘だといわれています。
この傾向は年齢を重ねるごとに著しくなっていきます。

便秘は頻度の差こそあれ誰でもが起こす症状で、しかも、人には言いにくい不調であるために長年放置する人が少なくありません。
そして、我慢を続けるうちに便秘状態が当たり前になっている人がたくさんいます。
「私は3日に一度」「私は週に1度」などと普通の顔をして言う人がいるのです。

でも、本来便通は毎日あるべきものです。
便は老廃物なのですから中には有害物質も含まれています。
何日も体内においていて、良いわけはありません。
また、毎日便通があっても残便感やお腹が張った感じなどがあれば、便秘ととらえて改善しなければなりません。

便秘の種類と原因

薬剤性便秘

何らかの薬の副作用として起こる便秘です。
咳止め薬・鉄剤・降圧剤は、副作用として便秘を引き起こす代表的な薬剤です。

器質性便秘

便秘の原因にはいろいろありますが、その中でも何らかの病気が原因になっていることがあります。
便秘で病院に行く人は非常に少ないのですが、あまりに長く続くような医師の診断を受けて、原因になっている病気が無いか確認しましょう。

便秘の原因になる病気や疾患は、大腸ポリープ・大腸ガン・過敏性腸症候群・潰瘍性大腸炎・十二指腸潰瘍などの腸の病気以外にもたくさんあります。
子宮内膜症・子宮筋腫など子宮が肥大して腸を圧迫するもの、胃酸過多・胃潰瘍胃痛など胃の消化作用が弱り腸に充分消化されていない食物が入っていくことによって便秘を引き起こすもの、甲状腺機能低下症・糖尿病・膠原病・うつ病など自律神経が失調し全身の機能が衰えて便秘をおこすものなどがあります。

機能性便秘

特に病気はなく、生活習慣やストレスなどが原因で起こる便秘を機能性便秘といいます。
機能性便秘には、弛緩性便秘・痙攣性便秘・直腸性便秘の三種類があります。

弛緩性便秘

弛緩性便秘は、加齢や妊娠など腸の蠕動運動や筋力の低下によって便を押し出す力が弱っておきます。

痙攣性便秘

痙攣性便秘とは、ストレスの為に蠕動運動が活発になりすぎて起こる便秘で、便秘と下痢を繰り返すのが特徴です。

直腸性便秘

直腸性便秘は、便意が起こりにくいために起きる便秘で排便を我慢する習慣がある人に起こりやすい便秘です。
脚が不自由であったり、トイレから離れたところに居室があったりすると起こりやすいのです。

便秘が起こす不調

腸内に老廃物をため込んでいるのですから腸内環境が悪くなるのは当然です。
腸内発酵が起きて有毒なガスが発生しますから、嫌な臭いのおならが出ます。

慢性的に有毒物質が腸壁を圧迫することで、ポリープや大腸がんにもかかりやすくなります。
腸内にたまった有毒な成分は、やがて腸壁から血液やリンパ液に吸収されて体内に回ります。
ニキビや肌荒れなど皮膚の不調として現れたり、あらゆる内臓に負担がかかり肝臓病や腎臓病、心臓病の要因にもなったりします。

腸はセカンドブレイン

近年の研究で特に注目したいことは、腸でも脳内と同じように神経伝達物質であるセロトニンが分泌されているという事です。
セロトニンとは、無用な興奮を抑えると同時に不安感も抑えて情緒を安定させる物質です。
便秘で腸内環境を悪化させてしまうと、セロトニンの分泌がうまくいかずうつ病などの精神的な不調をも引き起こしてしまうのです。

便秘の予防 〜 日常生活

お腹を温める

腰やおなかを冷やすと腸の動きが鈍くなって便秘の原因になります。
下着やカイロなどであたためましょう。

すぐにトイレへ

便意を感じたら出来るだけ直ぐにトイレに行きましょう。
長時間排便を我慢すると痔の原因にもなります。

適度な運動

適度な運動をして体全体の働きを活発にしましょう。

ストレス解消

怒りや不安感を発散する方法を覚えて気分転換をしましょう。

便秘の予防 〜 食生活

便秘予防に最も有効なことは、食生活を整えることです。
規則正しくバランスのいい食事を心がけましょう。

起きたら水一杯

朝起きぬけにコップ一杯の水を飲むと腸を刺激して排便を促します。

朝食

朝食は腸を刺激して排便をスムーズにします。

食物繊維(野菜や果物)

食物繊維は便のもとになるとともに腸管を掃除する役目も有るので便秘予防には必須とも言えるものです。豆類、ゴボウ、菜類、キノコ類、寒天やヒジキ、コンニャクなどが食物繊維を多く含む食品です。

食物繊維というととかく生野菜を連想してしまいますが、野菜類は加熱して嵩を低くした方が多くの量を摂取することができます。
バナナやリンゴなども食物繊維を多く含みます。
青汁等のサプリメントも有効です。

脂肪分

脂肪分は腸内の老廃物の流れをスムーズにします。オリーブ油やごま油、フィッシュオイルなど低温でも凝固しない油を摂取しましょう。

乳酸菌

乳酸菌を摂取すると腸内に善玉菌が増え腸内環境が改善されます。
一日に100mリットル程度のヨーグルトを食べるようにしましょう。
デザートというよりは調味料のひとつとして利用すると糖分を控える事ができます。
サラダドレッシングや肉類やフライもののソースとしてもおいしく食べる事ができます。
ただし、加熱すると乳酸菌は死んでしまいます。

酵素

酵素を含む食品を摂取すると腸内環境が改善されます。
納豆、みそ、しょうゆ、酢、麹などを使った食品を食べましょう。
ただし、加熱すると酵母は働かなくなってしまいます。
漬物は、植物性乳酸菌と酵母の両方を含む食品です。

水分補給

水分が不足すると便は腸内で固まって便秘の原因になります。

軽い刺激物

軽い刺激物は腸内を刺激して便通をスムーズにします。
こしょうや、トウガラシ、ワサビなどの香辛料を適度に利用しましょう。
カフェインは腸を活性化させる働きがありますが一方で利尿作用もあるので水分不足の便秘の要因になります。

最後に

器質性便秘の原因になるといわれている病気は、また、機能性便秘から引き起こされる病気でもあります。
便秘は負のループを引き起こします。
たかが便秘と甘くみず早期に医師の診断を受け適切な対処をしましょう。

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