子供たちが献立を考え、買物や料理、片付けまでする「弁当の日」。2001年当時小学校校長だった竹下和男さんが提唱し、香川県綾川町の小学校で始めました。2016年末時点では47都道府県の小中高約1800校に広がっています。

今回は、「弁当の日」とはどんなものなのか、その目的と効果についてご紹介します。

「弁当の日」とは?

近年、料理ができないまま大人になってしまう人が増えています。小学校高学年になっても「ご飯の炊き方が分からない」「包丁を持って料理したことがない」という子供が少なくありません。それは、保護者が台所に子供を立たせていないからです。

竹下和男さんが始めた「弁当の日」の対象は、家庭科の授業がある5、6年生でした。年5回ほど実施し、家庭科で「弁当の日」のおかずになるものを調理したり、栄養バランスなどについても指導したそうです。

弁当はすべて子供の力で作ります。自分で献立を考え、スーパーで食材を買い、調理して、お弁当箱におかずを詰めるところまですべてです。「くれぐれも子供の弁当作りを手伝わないようにしてください」と竹下さんは保護者に伝えたそうです。子供たちが自分で作る体験をさせるためでした。

子供たちに起きた変化

「弁当の日」に反対意見も多かった中、スタートさせてみると子供たちに大きな変化がありました。

まず、料理を毎日作ってくれているお母さんの大変さがよく分かったようです。子供たちが食事の準備や片づけをよく手伝うようになったという報告があります。自宅で簡単な料理をするようになり、時々家族に作ってくれるようになったという報告もあります。スーパーで食材やその値段に目が行くようになったとか、お弁当の食材費を抑えるために代わりの食材を選んで工夫を始めた子供もいたそうです。

給食の栄養バランスの良さにも気づき、その安さに感心する子供も出てきました。食材を作った人、運んだ人、調理した人のことを考えるようになったという意見もあり、弁当を作ることが子供たちにとって素晴らしい食育となっていることがよく分かります。自分で作ったお弁当は、ほとんど残す子はいなかったそうです。

失敗しても繰り返しやらせよう

保護者にとっては、子供にやらせるより親がやった方がずっと早いし楽なのです。それをぐっと我慢して見守るのは大変なことでしょう。しかし、「子供には無理だから」「危ないから」とやらせないままでいたら、子供はいつまでたっても料理を作れるようにはなりません。大学生になって親元を離れて、料理を作れないために苦労する人はたくさんいます。スーパーで何がどのくらいの値段で手に入るのか全く知らない中で一人暮らしをスタートし、自炊のするのは大変なことです。

子供が自立するためにも、自分で料理が作れるように教えていきましょう。最初はハラハラドキドキして見ていられないかもしれませんが、失敗した数だけ、きっと料理の腕は上達します。日常の生活の中で機会を見つけて自然に教えていくのがコツです。子供が「私もやりたい!」と言ってきたら、「忙しいから」とか「危ないから」とか言わずに是非一緒にやりましょう。手間や時間はかかりますが、やった分だけ子供は上達します。そのうち、親が困ったときに簡単な料理を作ってくれるようになるかもしれません。

料理を作る楽しさが、生きる力に繋がります。是非、親子で楽しんで料理する機会を作って下さい。

【参考文献】
※『“弁当の日”がやってきた』(シリーズ 子どもの時間3)竹下和男、2003年9月15日、自然食通信社
※熊本日日新聞総合版平成28年10月6日「料理の楽しさ 伝えよう」
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