着替えにトイレ、お箸に鉛筆、ハサミ……。赤ちゃんを卒業すると、覚えることがいっぱいです。そのひとつひとつを親子で楽しみながら覚えていけたら理想的ですが、現実はなかなかそうはいきません。
育児は思い通りにいかないことの連続です。それでも少しでもストレスを減らして育児を楽しむために、親にできる心構えとはどんなものでしょうか?
成長のペースは子供によって違う
「子供の心と体の発育は個人差が大きい」ということを頭では理解していても、特に初めての子育てでは、我が子の成長が遅いのではないかと周囲と比較して気が沈んだりしがちです。
他の子と我が子を比較して落ち込むのはやめましょう。焦って教えようとしても大抵上手くいきません。ますますストレスがたまり、子供を強く叱ってしまうことになりかねません。そして自己嫌悪に陥り、またストレスが膨らんでいく……。そんな悪循環から抜け出しましょう。
この子にはこの子の成長のペースがある。他の子より遅くても、ゆっくりでも、それがこの子の持って生まれたペースなんだ。そう思うことができたら、随分子育てが楽になります。「いつ」できるようになるかではなく、その子の成長のペースに合わせて、親は寄り添うように見守っていきましょう。
環境を作っておこう
私は5歳と3歳の姉妹を子育て中ですが、姉妹でも全くタイプが異なり、成長の速さも異なることに驚いています。興味の対象も全然違いました。上の子は赤ちゃんの頃から絵本が大好きで、2歳の頃にはもう文字を読み始めていました。今では一人ですらすら絵本が読めます。パズルにも随分小さい頃から熱中していました。2歳頃の自己主張も激しく、手を焼きましたが、その分着替えやトイレの自立も早かったと記憶しています。
一方下の子は今3歳ですが、今のところ文字には全く興味を示しません。甘えん坊で、着替えや靴も人にやってもらうのが好きです。外遊びが大好きで活発です。
次女は絵本に興味を示しませんでしたが、それでも絵本は身近にたくさんある環境で、本人がその気になればすぐに引っ張り出して見ることができるようにしていました。するとつい最近、急に絵本に興味を持ち始め、自分でママのところに「これ読んで」と持ってくるようになったのです。今では集中して最後までお話を聞くことができます。ああ、次女のタイミングが来たのだなと思いました。
子供のサインを見逃さないようにしよう
親にできることは、焦らず、気負わず、その子の成長のタイミングが来るのを待つことです。もちろん、ボタンの留め方や靴の履き方、お箸や鉛筆の持ち方など、日々の生活の中で少しずつ教えることは大切です。教えなければ子供はやり方を学ぶことができません。
しかし、あくまでも無理強いすることなく、根気強く接していきましょう。親の焦りを子供は敏感に察します。
地道に根気強く接していると、あるとき、子供がそのことに興味を持つ瞬間がやってきます。例えば、いつもは親に「とめて」と言っていたボタンを自分でやってみようとする。すぐに諦めていたパズルだけど、1ピース偶然はまったら嬉しくて喜んでいる。そんなときの子供の表情を見逃さないようにしましょう。
絵本に興味を持ち始めた次女に『はけたよ はけたよ』(かんざわ としこ 文、にしまき かやこ 絵、偕成社)という絵本を読んであけました。主人公の男の子に対抗意識を燃やした次女は、今では一人で着替えをするようになりました。少し前まで親に甘えてやってもらっていたのが嘘のようです。焦らずとも、成長のタイミングはやってくる。親は子供のサインを見逃さないようにしましょう。慌てず、ゆっくり、その時を待ちましょう。