年齢を重ねてくると、家の方もだんだん老朽化していろいろ修繕などが必要になってきます。一戸建ての場合には家周りの雑草処理や外壁の汚れなども気になってきます。マンションの場合には、家の外側に関しては、管理人や管理組合の方で手当てをしてもらえますが家の中は自分の責任です。古い物件では、バリアフリーでないところも多いので、そろそろリフォームの心配もしなければなりません。持ち家はシニアには愛着がある反面重荷でもあります。
気楽さという面では賃貸も魅力的です。賃貸は引っ越したい事情ができた時にも身軽に動けます。そろそろ賃貸に移ろうかな?と考えた時、さて、何を基準に引っ越し先を選べばいいのでしょうか?
場所
場所や住所は暮らしの質に大きな影響を与えます。よくあるのが生まれ故郷へ帰りたいという想いです。シニアになって、昔が懐かしく感じることも多く、終の棲家は故郷にしたいと思う人は少なくありません。
もし、故郷に親族が多く何かと世話をしてくれる人が多い場合にはそれもいいかもしれません。
生まれ故郷が市街地の場合には、友人や知人もその地で暮らしていることが多く、また生活も便利なので高齢になっても住みやすい環境です。
しかし、生まれ故郷が今よりも田舎にある場合には、友人もその地を離れていることが多く、生活が不便になるので慎重に考えなければなりません。気候が厳しい土地ならなおさらのことです。
基本的には次のような条件がそろうことが理想的です。
- 親しい人たちとの付き合いを継続しやすい場所
- 趣味を継続できる場所
- 最寄駅(バス停や駅)が徒歩圏にある場所
- かかりつけの病院などが継続出来る場所
- 郵便局や銀行、スーパーなどが徒歩圏にある場所
ただ、これだけの条件がそろう場所はなかなか難しいものです。どれを我慢するかということになります。
保証人
賃貸住宅を借りるときに、まず必要になるのが保証人です。長い間持家に暮らしていると、保証人がいなければ賃貸入居は難しいことを忘れてしまっていることがあります。親族や知人が保証人になってくれればいいのですが、保証人の判をついてくれる人はそう簡単見つかるものではありません。
公的な補償制度としては、高齢者住宅財団の家賃債務保証制度があります。
60歳以上、または要介護、要支援認定を受けている人が対象で、家賃、管理費、共益費、原状回復費を保証してくれます。保障費用は、家賃月額の35%です。家賃8万円の所なら2,8万円を契約時に支払います。
ただし財団と保証提携のある賃貸住宅のみこの制度を利用できます。
また、県営住宅や市営住宅、UR都市機構など公的な住宅ならシニアが借りやすい条件になっています。
健康状態と住宅
シニアの引っ越しで、考えておくべきことは健康状態のことです。今は元気でも、いずれ何らかの公的な支援が必要にならないとも限りません。そんな時のために、早い時期からシニア向けの物件に入居しておくと、もしも、体調不良になった時なども何らかの支援を受けることができます。介護が必要になった時にも、一般住宅にいるよりも情報量が多く手続きもスムーズにいきます。
シニア向け住宅の種類
サービス付き高齢者向け住宅
シニアが住みやすいようにバリアフリー設計で緊急時対応サービスがある賃貸住宅です。地方自治体によって各種の助成制度があります。基本的には自立して生活できるシニアを対象にした賃貸住宅です。介護レベルが高い場合は入居できない場合があります。60歳以上という条件がほとんどで、比較的賃料が高いのが欠点です。
民間事業なので原則は民間不動産業者に相談します。地域の介護サービスを受けている場合には、紹介を受けることもできます。
有料老人ホーム
有料老人ホームは、健康で自立生活をしている人向けのものと現在すでに介護を受けている人向けの介護付きがあります。民間施設なので、それぞれサービス内容に差はありますが、基本的には食事その他の生活支援サービスがあります。健康な人から軽度の介護が必要なシニアを対象にしており、非常に豪華な設備やサービスを売り物にしているものもあります。比較的高額な施設が多いので利用者は限られます。
シルバーハウジング
ライフサポートアドバイザーが付く公共賃貸住宅です。ライフサポートアドバイザーは生活指導や安否確認、緊急時の対応をしてくれます。また、住宅設備や設計も高齢者向けになっています。60歳以上で介護レベルの低い人が入居できる低賃料の住宅です。介護サービスは付帯しいていませんが紹介を受けることはできます。窓口は市町村福祉課です。
生活支援ハウス(高齢者生活支援センター)
60歳以上一人暮らし、夫婦のみ世帯の人を対象にした賃貸住宅で、地域住民を交流、緊急時対応、生活相談を受けることができます。健康状態が悪くなったときには、公的な介護サービスを受けられる手続きなども支援してくれます。比較的定賃料で入居できます。窓口は市町村の福祉課です。
軽費老人ホーム
A型は所得制限があり食事つき、B型は食事制限なく自炊、ケアハウスは食事や入浴のサービスを受けることができます。比較的低賃料で入居できます。
その他
このほかにも、認知症の人向けにはグループホームや特別養護老人ホーム、病気があり医療管理下で暮らす必要がある人向けの介護老人保健施設などがあります。
現状では、グループホームや特別養護老人ホームは、3年待ち、4年待ちは当たり前です。
最後に
自分が介護を受けながら暮らすことを考えるのは気が重いことですが、健康で気持ちがしっかりしているうちにある程度のめどを持っているほうが気分的に楽に暮らせます。