松谷みよ子さんは『ちいさいモモちゃん』シリーズや『オバケちゃん』シリーズをはじめ、数多くの童話を発表しています。野間児童文芸賞や講談社児童文学作品などの賞も受賞している日本の代表的な児童文学作家です。
今回は松谷みよ子さんの作品の中から、皆さんに是非読んでほしい絵本を10冊紹介します。
もりのパンやさん(松谷みよ子 ぶん、ひらやまえいぞう・え、童心社)
「あかちゃんのおいしい本」シリーズの1冊です。
ひらやまえいぞうさんが描くパンがとにかくおいしそう!焼き立てでふんわりホカホカ、湯気と美味しい匂いまでこちらに伝わってきそうです。「みんな うっとり」してしまうのも納得です。
「こんなパンが作れたら素敵だな」「美味しいパンが食べたいな」という気持ちがいっぱい詰まった絵本です。対象年齢は1〜2歳から。小さい子向きの絵本です。
くつがじまんのむかでさん(松谷みよ子 ぶん、ひらやまえいぞう・え、童心社)
くつがじまんのむかでさん (松谷みよ子 あかちゃんのむかしむかし)
「あかちゃんのむかしむかし」シリーズの1冊です。
ひらやまえいぞうさんの描く虫たちの絵が生き生きとしていて、それでいて柔らかい色遣いが魅力です。配色が素晴らしく、見ていて心地よさを感じます。
話の展開も面白いですが、松谷みよ子さんの軽快で語りかけるような文章が絵との相乗効果で楽しげな雰囲気を醸し出しています。
何度でも読みたくなるような絵本です。
ぼうしをとってちょうだいな(松谷みよ子 文、上野紀子 絵、偕成社)
ぼうしを とって ちょうだいな (あかちゃんのわらべうた( 3))
「あかちゃんのわらべうた」シリーズの1冊です。
繰り返しのリズムが耳に心地よく、単純な内容ですが、何度読んでも飽きることがありません。びっくりするような仕掛けもあり、子供たちは大喜びです。
子供同士の会話のやり取りが面白く、遊び唄のような言葉の響きが楽しい絵本です。是非、音読して読み聞かせて下さい。きっと言葉を真似して、覚えてくれます。
いいおかお(松谷みよ子 文、瀬川康男 絵、童心社)
松谷みよ子さんのあかちゃんの本シリーズの中で、『いないいないばあ』と並んで人気のある絵本です。
瀬川康男さんの味わい深い素朴な絵が魅力です。
「いいおかお」ってどんな顔?この本を読むと、親は戸惑ったりすることもありますが、幼い子は素直に受け入れて喜んでくれます。
家族で「いいおかお」をする時間を作ってみましょう。
あかちゃんのうた(松谷みよ子 文、岩崎ちひろ 絵、童心社)
松谷みよ子さんが子育て中、赤ちゃんに語りかけるように歌った言葉の数々が収録されています。
日本に昔から歌い継がれてきたわらべうたや手遊び唄を、心の赴くままにアレンジして、自由にのびのびと歌っているところが魅力です。
赤ちゃんになんと話しかけて良いか分からない。そんな戸惑いを持つ母親に是非お薦めしたい1冊です。肩の力が抜けて、穏やかな気持ちになれます。
りんご ころころ(松谷みよ子 文、とよたかずひこ 絵、童心社)
1〜2歳から楽しめる絵本です。
丸々としたりんごがたくさん出てきて、小さい子の目を引きます。りんごに顔があって喋るので、りんごの気持ちになって読み進めることができます。
小さなお子さんに語りかけるような文章が分かりやすく、幼児に人気の絵本です。何度でも飽きずに読みたがる子もいます。
丸くて赤いりんごが、とってもおいしそうですね。
おばけとモモちゃん(松谷みよ子 文、中谷千代子 絵、講談社)
復刻版 ちいさいモモちゃん(1) おばけとモモちゃん (講談社の創作絵本)
復刻版「ちいさいモモちゃん」シリーズの1巻です。
昔ながらのおばけが、現代っ子のモモちゃんに振り回される姿が笑いを誘います。
子供は概念にとらわれず、自由にどんどん行動していくんですね。モモちゃんの姿から、子供の力強さとのびのびとした感性を感じて、元気をもらえる絵本です。
最近の子は、おばけを怖がらないのかな?読んで試してみて下さい。
のはらの花にも(松谷みよ子 作、いしい つとむ 絵、にっけん教育出版社)
子供の頃田舎で育った私は、野原や山でいろんな雑草や花に囲まれて育ちました。私の母は草花の名前に詳しくて、「これなあに?なんて花?」と聞けば、大抵すぐに答えてくれたのを思い出します。
お散歩中、子供が道端で咲いている花を見つけて「これなあに?」と聞いてきたら、答えてあげたい。分からなかったら植物図鑑などで調べて教えてあげたい。そう思います。きっとそんな時間は、将来親子の素敵な思い出になると思うのです。
ももうりとのさま(松谷みよ子 文、堀川理万子 絵、ハッピーオウル社)
日本の昔話です。日本の広い地域で各々語られてきたものを、松谷みよ子さんがまとめて再話しました。
この絵本で注目してほしいところは、この昔話の文章です。標準語では、昔話の魅力が半減してしまいます。松谷みよ子さんは方言を使い、実際この物語が口頭で語り伝えられてきたように話しています。読むと耳に心地よく、心に染み入ってくるような響きです。この絵本で、昔ながらの日本語の良さを感じて下さい。
たつのこたろう(松谷みよ子 文、朝倉摂 絵)
朝倉摂さんの絵が圧倒的な迫力で迫ってくる絵本です。
めまぐるしく変わる展開と物語が、壮大なスケールで描かれています。龍に天狗、鬼に雪女など次々と登場して、幾つもの昔話が複合的に混ざり合っているような贅沢な内容です。読むと、映画を1本観たような満足感が得られます。
この絵本が気に入ったら、小学生になったお子さんに講談社青い鳥文庫の『龍の子太郎』(松谷みよ子 著)も薦めてみて下さい。数々の賞を受賞した傑作です。
編集後記
いかがでしたか?
松谷みよ子さんは赤ちゃん向けの絵本をはじめ、モモちゃんシリーズ、昔話や民話の語りなど、幅広いジャンルの絵本を手掛けています。
わらべ歌のような優しい語り口、民話の個性を大切にするしなやかな文章が魅力です。音読すると、耳に心地よく響きます。
ここでは紹介していませんが、いじめや反戦の絵本もあります。興味のある方は是非、読んでみて下さい。