学校の授業では先生を怖がって何も覚えられず、クラスの子供達ともちっとも仲良くならない。いつも独りで、のけものにされ、皆からは「ちび」と呼ばれていた男の子。けれど、その男の子にはその子だけの、隠された才能がありました。
入学から5年経ち、6年生になった「ちび」。長い間誰も気付かなかった「ちび」の優れた才能に気づき、褒め、認めてくれた初めての先生が「いそべ先生」です。作者の八島氏は、実在する恩師二人の思い出を掛け合わせて、この「いそべ先生」を作り出したといいます。
学歴ばかりを重視していては見えてこない、子供一人一人の個性、すぐれた素質、豊かな感性。見逃してしまいがちな大切なことに、気付かせてくれる作品です。
教育とは何か、考えさせられます。
※『からす たろう』八島太郎、偕成社、1979年