禁煙は簡単で難しいです。吸わなければいいだけなのに、それが出来ない、続かないからです。
そこで、「何故、煙草がやめられないのか?」、「どういった禁煙法が効果的なのか?」について紹介してみたいと思います。ええ、多い時期は日に40本は吸っていた元ヘビースモーカーである私の主観も交えて。
そもそも、何故辞められないのか?
説明不要かも知れませんが、煙草が燃焼すると多くの有害物質を発生させます。このことを理解していても辞められないのはニコチンに高い依存性があるからです。
ニコチンが血中に入ると、やる気の素になる脳内伝達物質のドーパミンを分泌させることは知られていますが、それだけではありません。記憶や思考に関係するアセチルコリン、気持ちに平穏をもたらすセロトニン、不安を取り除くβ-エンドルフィンといったものも分泌されます。
因みに、「煙草を吸うと食欲が無くなる」と言われますが、それは食欲を抑制するノルエピネフリンも分泌されるからです。生活に必要なほとんどの脳内伝達物質の分泌がニコチンの影響を受けているということになります。
このため、ニコチンの作用が消失すると、有害であっても高価であってもついつい吸ってしまうわけなんですね。コカインと同様の依存性がるというのも頷けます。
では、禁煙してみましょう
さて、いかに煙草の依存性が高いかを説明したのには理由があります。それは、「無理せずゆっくり」という禁煙法を紹介してしまうと、ほぼ失敗してしまうからです。
「今日から一本ずつ減らそう」とか、「これを吸い終わったらもう買わない」とか、何を言っているのかと。
相手が強敵なら、それなりの覚悟が必要なのです。そして、その相手とは、ニコチンではなく自分自身なのです。ですから、方法はいたって簡単です。「もう吸わない」と決心して手元にあるライターや灰皿を捨てるのです。
離脱症状がはじまったら
ニコチンの離脱症状は、禁煙開始の翌日からはじまり、大体三日目がピークで一週間目まで続きます。
最も辛いと感じる期間で、本当に些細なきっかけでまた吸い始めてしまいます。なので、こういった場合は以下の方法で切り抜けましょう。
- 毎朝、鏡に向かって「今日も吸わないぞ」と宣言する。
- 我慢できなくなったらコップ一杯の水を飲み、深呼吸する。
- 食事に果物と野菜を多く取り入れる。
最初のは完全に精神論ですが、「吸ってはいけない」という強迫観念ではなく「自分にはできる」という気持ちを自己暗示させるためです。
次の水と深呼吸は、煙を吸い込んだときの代替行為としてよく知られていますね。
最後の果物と野菜は、超ヘビースモーカーだった方から15年近く前に聞いた方法です。曰く「吸いたい衝動が弱まる」。最近、たまに目にする方法ですが、理由が「果物が煙草を不味く感じさせるから」など、まだしっかりとした解明はされていないようですね。
禁煙は三ヶ月目までが勝負
辛い離脱症状の毎日が終わると、吸いたい衝動におそわれることは滅多になくなります。しかし、だからこそ耐えきれず吸ってしまいがちです。こういった時は「さて、本当に吸いたいのかね?」と自問自答してみましょう。「吸いたくなったら15秒我慢する」という有名な方法は、こういった不意打ちにとても有効です。
また、禁煙一ヶ月から三ヶ月目は心身の変化を冷静に受け止められる時期です。食べ物が美味しく感じるなら食べたいものを食べる、眠りが深くなったのなら就寝前にBGMを流すなど、煙草とは無縁なシチュエーションを生活の中に盛り込みましょう。
ちょっと一本に罪悪感を覚えないこと
吸いたい衝動をコントロールできるようになっても、お酒の席などで「まあ、一本どうぞ」と勧められ、ついつい貰い煙草をしてしまうということがあるかも知れません。しかし、そこで吸ってしまっても諦めないようにしましょう。
最もしてはいけないことは、「貰い煙草は失礼」という喫煙時代の考えで買ってしまうことです。もしも買ってしまったら、残りは誰かにあげるか捨ててしまいましょう。冷静に考えると煙草の値段は非常に高いため、勿体ない気持ちを逆手にとって「こんなに高かったんだ」と自分に再認識させましょう。
もしもこんな状態になったら
冒頭で説明したように、ニコチンは私たちの気分や自律神経をコントロールします。なので、体質によって眠くて仕方がないという人もいれば、睡眠障害になる人もいます。あまりひどいと生活に支障が出ますから、無理せず病院での診察を受けましょう。
こういった脳内伝達物質のバランスが回復するのに数ヶ月から半年と言われていますが、これもまた体質によって異なりますので、あまり深刻に考えないように。私は一年近く抑鬱に悩みましたが、自然と消滅しました。
おわりに
もしかすると「これで辞められたら禁煙外来はいらないんだよ!」と思う方もいるでしょうが、禁煙外来を失敗した方によると自己嫌悪に悩まされるそうです。それならば、決意ひとつで簡単に始められる方法なら、失敗しても大して悩みませんよね?私なんか、最初に失敗したとき「最初の苦しい一週間を耐えられたんだから、自分に不可能なことじゃないんだ」と前向きに考えることができましたから。