RSウイルス感染症は、冬場に流行する感染症です。
しかし、ここ数年は流行のスタートが早まる傾向にあり、秋に流行のピークが来て、そのまま冬まで続いています(10月〜2月頃までが流行期)。今年も10月にはピークを迎え、11月現在も流行は続いています。
特に乳児が感染すると重症化する恐れのあるRSウイルス感染症について知っておきましょう。
どんな病気?
生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子供がRSウイルスに少なくとも1度は感染すると言われています。RSウイルス感染症と診断された患者の9割以上が0〜2歳児です。
症状は軽い風邪のような症状から重い肺炎までさまざまです。初めて感染発症した場合は重くなりやすく、生後6ヵ月以内の赤ちゃんや心疾患などがある子供は重症化する恐れがあります。1歳未満の赤ちゃんの場合、インフルエンザよりも死亡数が多いというデータもあります。特に低出生体重児や先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全などをもつハイリスク児は要注意です。
症状は鼻水や咳、発熱などで、感染者の多くは風邪のような症状だけで治ります。しかし、重症化すると細気管支炎・肺炎となり、生後間もない赤ちゃんの場合突然死に繋がる無呼吸発作になるケースもあり、油断できません。RSウイルスに感染すると、喘息になりやすいという報告もあります。
治療法
RSウイルス感染かどうかの診断は、鼻に綿棒を入れてこすり、その綿棒を試薬を使ってRSウイルスを検出しています。結果が出るまで30分程度です。
治療は対症療法が主体です。発熱に対しては解熱薬、喘鳴を伴う呼吸器症状に関しては鎮咳去痰薬や気管支拡張薬などが処方されます。細菌感染が疑われる場合は抗生剤も処方されます。水分補給に努め、安静に過ごしましょう。
赤ちゃんにうつさないように注意しよう
RSウイルスは、咳やくしゃみ、ウイルスがついている手、ウイルスがついたドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップなどを触ったりなめたりすることで感染します。身近に感染した患者がいるときは、赤ちゃんが触ったりなめたりするおもちゃなどにウイルスが付着しないよう配慮が必要です。感染が心配される場合は、アルコールや塩素系の消毒剤等で消毒するなど、対策を取りましょう。
RSウイルス感染症は、何度でも感染します。2歳以上の子供や大人が感染しても、風邪のような症状だけで治ってしまうので、RSウイルスだと気づかないことが多いです。RSウイルス感染症と風邪の症状は非常に似ているので、なかなか区別がつきません。風邪症状がある親兄弟は、用心して赤ちゃんにうつさないようにしましょう。
風邪を引いている家族と赤ちゃんは別の寝室にする、お母さんが風邪を引いたらマスクを着用して赤ちゃんに接するなどの配慮をしましょう。
RSウイルスは感染力が強いので、保育園や幼稚園で集団感染したり、家族間で感染する危険性が高いことを意識して行動しましょう。流行期は赤ちゃんを人混みに連れて行かない、外出後は手洗いとうがいを習慣化して、予防に努めましょう。マスクの着用も有効です。