中川李枝子さんの作品は『ぐりとぐら』シリーズが有名ですが、その他にも優れた絵本が多数あります。どの作品も子供への優しい眼差しが感じられて、読むと心が温かくなります。今回は、魅力あふれる中川李枝子さんの作品を紹介します。
ぐりとぐら(中川李枝子 文、大村百合子 絵、福音館書店)
中川李枝子さんの代表作です。
ここに登場する野ねずみのぐりとぐらは子供たちに大人気で、「ぐりとぐら」シリーズ
の絵本がたくさん生まれます。ぐりとぐらはマスコット的存在となり、図書館などで絵やぬいぐるみが飾られているのをよく見かけます。
美味しいものを作ってみんなで食べる幸せ。みんなが共感できる絵本です。長く愛されているロングセラー本でもあります。
そらいろのたね(中川李枝子 文、大村百合子 絵、福音館書店)
ゆうじが自分の模型飛行機を、きつねが持っていた「そらいろのたね」と交換するところから物語は始まります。
「そらいろのたね」って何が生えてくるのかな?というワクワクドキドキと、その後の驚きの展開に目が離せません。
物語自体がとても面白い上に、幼稚園などでよく起きるトラブル「ひとりじめは駄目だよ!」というテーマも描かれていて、考えさせられます。4歳くらいになって内容が理解できるようになったら、読後の感想を親子で話し合ってみるのもいいですね。
はじめてのゆき(中川李枝子 作、中川宗弥 絵、福音館書店)
「とらた」が初めて経験する雪。ひとつひとつ体で体験しながら、「雪」が冷たくて、歩きにくくて、落ちてくると危ないことを学んでいきます。物語に登場する雪だるまもひょうきんで面白いです。
「とらた」を見ていると、小さな子が新しい経験を体いっぱい受け止めて、びっくりしたり感動したりしながら学んでいく様子が連想されます。作者が子供の成長を優しく見つめる目が感じられて、ふんわり、優しい気持ちになれる絵本です。
なぞなぞえほん 1のまき(中川李枝子 作、山脇百合子 絵、福音館書店)
『ぐりとぐら』の絵が大好きで、なぞなぞも大好きというお子さんにおすすめの絵本です。見開きの片方が「なぞなぞ」で、もう片方にヒントになる絵が描かれています。
小学生くらいになるとヒントの絵を見ない方が考える楽しみを味わえるかもしれません。小さな絵本なので、はじめは絵の部分を手で隠しておき、文章だけでは難しくて答えが分からないとき絵を見るようにすると良いかもしれません。
持ち歩きにも便利な大きさなので、外出先でも役立ちます。
おはよう(中川李枝子 作、山脇百合子 絵、グランまま社)
赤ちゃん向けの絵本です。
まず、おひさまが雲でできたお布団で目が覚めるシーンから始まってびっくりします。だって、雲のお布団からちょこんと2つの足が出ているんですもの。
朝の日課である歯磨き、洗顔、身支度のシーンがあって、1〜2歳の子は自分と同じだと共感するようです。「おひさまみたいに顔を洗おうね」なんて言うと、洗顔を嫌がらなくなるかもしれません。
木々や野原の動物たちが見上げるおひさまは堂々と照っていて、心が晴れやかになる絵本です。
おやすみ(中川李枝子 作、山脇百合子 絵、グランまま社)
赤ちゃん向けの絵本です。
小さな子供たちが思いっきり遊んで食べて、母親の愛情を感じながら床に就く。とても幸せな気持ちになる絵本です。
幼児の頃は、これからの成長に向けて、たくさんの遊びと満足感、家族の愛情が欲しい時期です。そのすべてが満たされて満足して寝る子供たちの寝顔は幸せに満ちています。
この絵本を寝る前に読んであげたら、子供たちも安心して眠れるのではないかと思います。
おひさまおねがいチチンプイ(中川李枝子 作、山脇百合子 絵、福音館書店)
子供に対する深い愛情が感じられる絵本です。
幼児期に必要なのびのびとした自由な遊び、型に囚われない自由な発想による遊びがたくさん描かれています。
広い野原でタンポポに囲まれて、子供たちは思い思いに好きな遊びに興じます。みんなで泥だらけになって芋掘りするのも楽しいし、雪遊びも楽しいね!
幼児期はこんなふうにのびやかに育ててあげたいと心から思います。お母さんにもおすすめの絵本です。
くまさん くまさん(中川李枝子 作、山脇百合子 絵、福音館書店)
音読すると軽快なリズムが楽しい絵本です。
くまさんの生活の様子が簡潔な言葉でリズムよく描かれていて、小さなお子さんにも分かりやすい内容です。基本的な生活習慣、家のお手伝い、文字を書く、数を数える……。幼児が興味を持って覚えたい、試してみたいと思っている事柄がたくさん載っています。
対象年齢は2歳から。リズムを楽しみながら読み聞かせしてあげて下さい。
こぶたほいくえん(中川李枝子 文、山脇百合子 絵、福音館書店)
初めて子供が保育園や幼稚園に登園するときの心細さ、不安を描いた絵本です。
これまでずっと一緒だった母親と離れ、知らない子達の集団に入る緊張と不安がよく描かれています。でも子供たちはやっぱり元気で、たくさんのお友達と一緒に遊ぶのは楽しいんですね。帰る頃には保育園を大好きになっている。この絵本と同じような経験をしたお子さんも多いことでしょう。
子供の入園前後に読んであげると共感でき、心の励みになる絵本です。
ぐりとぐらのおきゃくさま(中川李枝子 文、山脇百合子 絵、福音館書店)
「ぐりとぐら」シリーズの1冊です。保母をしていた作者が、子供たちを喜ばせたいと願って作った絵本だけあって、ワクワクドキドキするお話です。
足跡の主は誰かな?少しずつ明かされるヒントに、「誰かな?」「もしかして?」と推理しながら読み進めるのがとても楽しいです。
クリスマスの時期におすすめの絵本です。内容が理解できるのは3歳くらいからでしょう。
編集後記
いかがでしたか?
中川李枝子さんの作品には、保母をしていたころの経験が生かされています。どの作品にも子供への深い愛情が感じられます。子供の気持ちを思いやり、健やかに、のびのびと育てたいという願いが感じられる作品ばかりです。
子育てで迷ったり、悩んだりしているお母さんにも読んでほしい絵本です。
是非、親子で楽しい時間を作って下さい。