思春期ごろからずっと眠れないことに悩んでいる人は、シニアになったころには慣れっこになっていて自分なりに対処法を持っている人が多いです。

ところがシニアになってから睡眠障害になった人にとっては眠れない夜は大変辛く、毎日「寝た気がしない」と深刻に悩むことになります。
夜眠れないことによって起きる夜間頻尿などもその辛い気分を倍増させてしまいます。

眠れなかったらまず病気を疑おう

夜眠れなかったら翌日は眠くて眠くて仕方がなくて、結局、翌日の夜は爆睡してしまうというのが普通の人です。
若し翌日も翌日も眠れない、眠ったとしてもいわゆる寝た気がしない状態が何か月も続くようならまずは医師の診断を受けましょう。

そして「睡眠時無呼吸症候群」や「むずむず足症候群」」「過活動膀胱」などの病気にかかっていないかを確認しましょう。
もし、何らかの病気が原因であればその治療をしなければなりません。

治療を怠ったまま生活していると、交通事故や工場内事故を起してしまう可能性もあります。
睡眠障害を自覚したらまずは医師の診断を受けることが大切です。

シニアが病気でもないのに眠れない理由

病気でもないのに睡眠の質が落ちてしまうのがシニアの特徴です。

  1. 年齢を重ねることによって脳が委縮し、床に就いてから眠りにつくまでに時間がかかったり、眠ってからも途中で目が覚めることが多くなります。
  2. 女性は閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が激減し睡眠障害をひきおこします。
  3. 運動、家事、仕事など肉体的にも精神的にも活動量が減れば当然に睡眠の質は落ちてしまいます。
  4. 就寝時間が長すぎる人は睡眠が浅くなります。例えば、午後8時や9時ごろに床に就けば午前2時や3時に目覚めてしまってもやむを得ないのです。
  5. アルコールは一時的に催眠作用が働いて眠くなりますが、その後覚醒作用が働くので3,4時間眠った後覚醒して眠れなくなります。晩酌の量が多いのも睡眠障害の原因になるのです。

眠るための工夫

  1. 快眠のための基本環境を整えましょう。
    起床時間と就寝時間が日によって大きく変化しないようにする、寝室の照明、騒音を遮断する、気温の調整、寝具の重さや温かさなど快眠の基礎的な条件を整えましょう。
  2. 就寝前にぬるめの風呂に入るとリラックスしてよく眠れます。
    熱い風呂は体温が上がってしまって覚醒するので逆効果です。
  3. 午前中、30分以上日光を浴びましょう。
    神経安定物質であるセロトニンの分泌が盛んになって気分がおちつきます。
  4. 午後、30分以内の昼寝をすることも夜の睡眠を誘発します。
    朝眠くても決まった時間に起きて、その代わり昼寝をするのが睡眠障害の改善になります。
    ただ、30分以上昼寝をすると夜眠れなくなります。
    濃いめのコーヒーを飲んでから昼寝をすると、30分ぐらいでカフェインの覚醒作用が働いて、すっきり目覚めることができるのでお勧めですよ。
  5. 夕方、散歩などの軽い運動するも有効な手段です。
    特に有酸素運動はセロトニンの分泌を促すので夜の睡眠の質を高めます。
    ただし、寝る直前に体操をすると体温が上がってしまい入眠をさまたげることになってしまいます。

快眠のための食事

  1. 就寝の3時間位前には食事を済ませましょう。胃の中に未消化物が残った状態で就寝すると睡眠の質を悪くしてしまいます。
  2. 夕方以降のカフェイン摂取を控えましょう。
  3. 栄養バランスを整えましょう。
    タンパク質、ビタミンB6、B12 が不足するとセロトニンの分泌不足になって情緒不安になることがあります。

    • 青魚はタンパク質とビタミンB6の両方を含む食品です。
    • にんにくはB6の宝庫です。
    • 貝類にはビタミンB12が多く含まれています。
    • 肉、牛乳、バナナ、納豆、卵にもセロトニンを合成する成分が含まれています。
  4. グリシンというアミノ酸が睡眠の質をよくすることがよく知られています。グリシンは甘味のあるアミノ酸でサプリメントとしてもよく出回っています。

夜笑おう

就寝直前の1時間位は仕事や家事など日頃真剣に取り組んでいることからは少し距離を置いて好きな音楽を聴いたりドラマを見たりして楽しみましょう。
就寝時間が長すぎる人はテレビのお笑い番組を見たり落語を聞いたりして、少し夜更かしをしてひと笑いするのもお勧めです。

眠れない時間を楽しもう

「眠らなければ、眠らなければ」と思いながら苦しい夜を過ごして、朝方気が付いたら眠っていた覚えはありませんか?
朝が近づいて「今眠っては寝過ごしてしまう」と思い始めると眠らなければという気持ちから解放され、その途端に眠ってしまうのです。

しかも、この時の眠りはすごく深くて目覚まし時計に起こされた時にはなんだか腹が立ちますよね。眠れないなら眠れないでまあしょうがないと覚悟を決めた方が気分が楽な分翌日の気分も楽なのです。

眼をつぶって横になっているだけでも、そこそこの休息をとることができます。
ただ、2時間も3時間もただ横たわっているだけというのも退屈です。

そんな時にお勧めしたいのがアロマオイルです。
アロマオイルを嗅ぐことでアロマ成分が鼻から直接脳の中枢器官に届き、疲れた脳を癒します。

眠らなければ、眠らなければと思いながら悶々とするのは愚の骨頂です。
せっかく眠れないのだから心ゆくまでアロマを楽しんでみてください。

アロマオイルには気分をリフレッシュするタイプのものとリラックスさせるタイプのものがあります。
寝るのが苦手な人は就寝時にリラックスタイプのアロマオイルを用意しておくと夜の辛さから解放されますよ。

備考

セロトニンとは:神経伝達物質の一つで情緒の安定に深く関わる物質で、セロトニンが不足するとうつ病や睡眠障害をひきおこします。

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