先天性股関節脱臼とは? 〜 早期発見が治療の鍵

先天性股関節脱臼とは、赤ちゃんの脚の付け根の関節がずれたり外れたりする病気です。国内ではかつて乳児の1〜2%に見られましたが、1970年代に始まった予防啓発の効果により発生頻度は低下し、現在では1000人に1〜3人にまで減っています。
しかし近年、発見が遅れたために治療が難しくなるケースが全国的に増えているといいます。今回は、先天性股関節脱臼の現状についてまとめました。

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公的乳児健診での見逃しが問題に

2013年、実態調査のために行われた学会のアンケートによると、全国の大学病院、小児病院、小児療育施設などアンケートに回答した782施設において、2011年4月〜2013年3月の2年間に股関節脱臼と診断された子供は1295人います。そのうち約15%に当たる199人が1歳以降に診断されており、更にこのうちの36人は3歳以上での診断でした。

1歳以降で診断された199人の大半が公的乳児健診を受けていたにもかかわらず、異常発見されず見逃されていたことになります。
これは、昔に比べて先天性股関節脱臼の患者数が激減し、医師や保健師が日常的に扱う病気ではなくなったことが原因だと考えられます。病気に関する知識がない医師や保健師が増え、更に少子化で乳児健診の予算を削る自治体もあることから、乳児健診での見逃しが増えているのです。

原因と予防

先天性股関節脱臼の患者は、女の子が男の子の5〜9倍と圧倒的に多くなっています。「先天性」と病名についていますが、出生時に脱臼していることは少なく、9割は後天的要因によるものです。女性の体格が向上して胎内のスペースが広くなり、妊婦が腹帯をきつく巻いて重労働を強いられる社会環境も減ったことから、出生時の発生率が減ったと考えられています。

後天的に赤ちゃんが脱臼する原因は、オムツのつけ方、抱き方、窮屈な服などが挙げられます。赤ちゃんの足は、仰向けに寝かせたときにМ字型になるのが自然な姿です。それを無理にまっすぐな姿勢にさせたり、М字を妨げるような窮屈なオムツや衣類を履かせることで脱臼が起きます。特に生後半年ほどは股関節の靭帯が弱いため、股関節脱臼が起こりやすくなっています。予防のためにも、生後1年ほどは赤ちゃんの股を圧迫せず、股関節に負担のかからないゆとりのある服を着せましょう。

暖かい国々では股関節脱臼が少ないことが報告されています。寒い国や冬に生まれた赤ちゃんは、衣類などで股を締め付けられることで脱臼が起きやすくなるようです。
また、注意すべきことは、赤ちゃんを抱っこやおんぶするときに、足が自然なМ字型を保てるようにすることです。赤ちゃんの股の下に手を入れて支えるなど、足がまっすぐに伸びないよう気を配りましょう。オムツ替えの際も、両足を引っ張ったり、持ち上げたりして足を無理に伸ばさないように気を付けましょう。

早期発見して治療しよう

股関節脱臼の治療は早期発見が鍵になります。生後3〜4ヵ月の乳児健診で見つかれば、「リーメンビューゲル」というベルト状の装具を3ヵ月程度装着して外来通院で治せます。軽い症状なら、日常生活を注意することで治ることも多いです。

しかし、発見が遅れると脱臼したまま骨の成長が進んでしまうため、治療はどんどん難しくなります。発見が1歳を過ぎると入院して脚を引っ張る「けん引」という治療が必要になり、それでも治らない場合は手術することになります。股関節脱臼を放っておくと、将来痛みや日常動作の制限が生じる変形性股関節症に進行する恐れがあるといいます。

赤ちゃんは股関節を脱臼しても痛みがなく、泣いて訴えることもありません。おかしいところがないか、大人が気付いてあげることが重要です。例えば下記のような症状には注意しましょう。

  1. 仰向けに寝かせて両脚をМ字に広げたとき、開き方が不十分だったり、左右が非対称になる。開くとポキポキと音がする。
  2. 太ももやお尻のシワの数が左右で異なる。
  3. 左右の足の長さが違う。
  4. 歩き始めが遅い。足を引きずる。

脱臼が心配される症状がある場合は、整形外科で診てもらいましょう。乳児健診で異常が発見されなくても、気になる場合は専門家に診てもらうことが大切です。

【参考サイト】
先天性股関節脱臼 – gooベビー
※熊本日日新聞総合版平成27年4月24日「乳児の股関節脱臼 見逃すな」
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